2018年度閉会式記念コラム「糀(こうじ)の甘酒を飲んでスポーツがんばろう!」

スポーツに効く!日本古来のメニュー、それが糀甘酒。

 スポーツの前もスポーツ中にも、そしてスポーツの後にも栄養や水分を補給しますが、実は日本古来の、ある食べ物が、スポーツに非常に向いてます。それは、糀(こうじ。特にお米の麹(こうじ)を「糀」と書きます)。もちろん、スポーツ以外でも、普段から摂っていても、からだにやさしく、良い働きをしてくれる原料です。

 

糀を甘酒で摂る!でも甘酒はお酒では?

糀はあくまで材料です。子供たちにも大人にも、よりおいしく簡単に糀を摂るためのメニューとしては、甘酒があります。糀の甘酒は、江戸時代から続く天然のスポーツドリンクなのです。

 

でも、甘酒はアルコールが入っているのでは?と思われる方、半分正解です。

それは、「甘酒」といっても2種類が存在するためです。

 

1)酒粕(さけかす)から作られる甘酒(アルコール分が入っています)

2)お米から作られる甘酒(アルコール分は入っていません。お米から作られる、見た目がまるで「にごったお酒のような」飲み物です)

2は、アルコールは入っていませんので、子供でも飲めます。1も2も、「甘酒」と日本で呼ばれているので、ややこしいんですね。

ここではもちろん、2のお米から作るほうの甘酒のことを話しています(ややこしいので、1の話をするときは「酒粕の甘酒」と書きます。2のときは「糀甘酒」と書きますね。)

 

甘酒は、自然の甘さ。やさしい甘さ。そして、たくさんの栄養。

糀甘酒は、やさしい甘さがあります。この甘さは、砂糖を加えているのではなく、お米の持つ甘さを糀(こうじ)が引き出しているのです。

お米の持つでんぷん質とたんぱく質は、糀を加えて発酵させると、

・甘いグルコースというでんぷん質

・旨味のあるブドウ糖(運動の源!!!)

に分解してくれます。この甘さが、やさしい甘さとして、おいしい糀甘酒を作っています。

糀はお米を発酵し、お米の持つ栄養分をどんどんほぐし、ブドウ糖、ビタミンB1、B2、B6、アミノ酸、食物繊維、オリゴ糖など、栄養や整腸作用の成分に分類してくれる働きをするのです。

 

グルコースは、肝臓でグリコーゲンに変化し貯蔵されます。そして、グリコーゲンがさらに分解され,筋肉などに移動してエネルギー源として働きます。お菓子売り場にある「グリコのキャラメル」は、このグリコーゲンが含まれており、元気のいいランニング姿のイケメンが走っている理由がここにあります。

 

ブドウ糖は、点滴にも含まれている栄養素で、血液の中で一緒に全身にいきわたるため、脂質やたんぱく質よりもはるかに素早く栄養になります。脳は、血液中のブドウ糖が主な栄養源なので、不足すると意識障害などの元となります。このように、全身で使われるため脂肪になりにくいという特徴があるのです。

 

余談ですが、ダイエットで聴かれる糖質制限ですが、糖質は大切なエネルギー源ですので、制限はすれども糖質ゼロではダメなのです。生きていくために、そしてスポーツをするためには、適量の糖質が必要です。マラソンなど長時間の運動には主に脂質が使われますが、400mなどの中距離走や短時間の運動には、糖質からのエネルギーが使われます。

糖質を制限しないと肥満になる、ということはどういうことでしょうか。それは、からだが持つ糖質の貯蔵量との差分です。体内での存在量は意外に少なく、血液中のブドウ糖のほか、肝臓や筋肉にグリコーゲンとして少量を貯蔵しているだけなので、すぐ使う量以上に食べた糖質は、体の中で脂肪となって蓄積されるからなのです。

 

運動前にも後にも、甘酒。

糀甘酒に話を戻します。

いつ飲めばよいのか、ということですが、スポーツ前の糖質を摂るタイミングとしては3時間前に糖質を含んだ食事を摂るのが望ましいとされています。スポーツで使うためのグリコーゲン量を高めておくことができるので、長時間の運動や激しい運動のために貯めておくためです。

スポーツ後は、エネルギーが不足し、疲労が溜まり、筋肉の細胞が損傷した状態になります。運動後すぐに栄養補給を行うことで、疲労が回復し筋肉の損傷も再生されます。

素早く吸収するブドウ糖などの栄養分を多く含んだ糀甘酒。江戸時代では夏バテ予防にも、冷やし甘酒が作られたり売られたりして、庶民の健康を支えていました。先人たちの知恵で、理にかなったスポーツドリンクが、糀甘酒なのです。

 

まずは、買って飲んでみて!そして作ってみて!

おそるおそるでも結構です。まずは糀甘酒を買ってみてください。いきなり大瓶ではなく、200ml程度のものから販売されています。

◆わが東部地区内の酒造、福光屋さんの「糀甘酒」

 

スーパーマーケットにも各社の糀甘酒が販売されていますが、必ず原材料を確認し、糀のものをお選びください。

 

また、材料が、お米・こうじ・お水だけなので、ぜひご自身でも作ってみてはいかがでしょうか。

麹の池田屋醸造さんや、クックパッドなどにもレシピがございます。

(南野)